こんにちは、Keiです。2022年に発売されたレゴ商品《10497 宇宙探検隊(Galaxy Explore)》を組み立てていきます。
商品の中身
まず本セットで最初に目を引くのは、パッケージのレトロなスタイルです。ある程度の年齢の方であれば、きっと箱の左上隅にある黄色の斜めライン+青い文字のレイアウトに目を留めるはずです。このデザインがノスタルジックな気分を高揚させ、さらに月の砂丘を描いたとてもシンプルな背景が子供の頃の記憶を思い起こさせます。これまでクラシックセットではこの部分に「LEGO LAND」と書かれていましたが、今回は代わりにセット名が記載されています。
箱を開けると、レゴブロックのパーツが入った袋は9つ、黒色の8×16タイルプレート、説明書が1冊付いていました。大きな特徴的としてこのセットの装飾要素はすべて印刷パーツで構成されており、ステッカーシートは見当たらなかったことです(全商品セットを是非こうしてください…)。
パーツ数は1254個、宇宙飛行士のレゴミニフィギュアが4体と、ロボットが付属しています。18歳以上から遊ぶことができます。
セット完成時のモデルサイズは高さ約13cm x 長さ約52cm x 幅約32cmです。
LEGO® Builderアプリを使用すれば、3D表示でモデルを拡大・回転してチェックでき、組み立ての進捗を保存することができます。
「銀河探検隊」の開発背景
本セットはレゴ社の創業90年を記念した商品で、これまでの創造の歴史を振り返る大人向けトリビュートモデルコレクションとなっています。また、セット内容は1979年に発売されたレゴクラシックシリーズの商品《497 大型宇宙船》を参考にしており、40年以上の時を経て現代的にブラッシュアップが施された新モデルになっています。
題材となったこの《497 大型宇宙船》ですが、ミニフィギュアが初めて商品化されたオリジナルセットであり、LEGOの歴史が大きく動いた記念碑的な商品として一般的に知られています。そして、これ以降に発売された商品はクラシックスペースシリーズというジャンル名で呼ばれるようになり、レゴ社宇宙シリーズの原点としてレゴファンの間で熱く語られている名作です。
ちなみに本セットの説明書には、「《497 大型宇宙船》がお気に入りの1つだった」という、レゴ社の後継者ケルド・カーク・クリスチャンセンからのちょっとしたエピソードも紹介されています。また、ファンからレゴ社デザイナーに転身し、本作を担当したMike Psiaki氏は「497は僕の創造力の原点であり、10年前に入社したときからこの商品のアップデート版をずっと作りたかったんだ」と熱く語っています。
商品の組み立て
それでは、《497 大型宇宙船》へのオマージュをしつつ大幅にスケールアップして精巧に再現された《10497 宇宙探検隊》を組み立てていきます。
船体の後方に格納される小さな惑星探査機は、とても古典的な造形のマシンです。わずかなピース数ながら、レゴらしさが残る可愛らしい四輪車ですね。
ポリバッグ1の中身を取り出してみると、《10497 宇宙探検隊》は外観こそクラシカルな宇宙船に感じられますが、内部構造は子供の頃に遊んだレゴとは全くの別物であることがわかります。基板となる大きなベースプレートは1枚も存在せず、近年の大型商品の主流となっているテクニックパーツで芯をつくり強度を上げる方法を採用しています。
胴体部分では、斜めにレゴブロックを組み込む手法のほか、滑らかな翼の造形力に至るまで技術力の向上を実感しながら組み上げることができます。きっと十数年ぶりにレゴを手にする大人はレゴの進歩に驚きが隠せないでしょう。僕自身も「こんな面白い組み立て方が自分で思いつけたら最高なのに…」と何度も唸ってしまいました。
格納式着陸装置部分ですが、最終段階で取り付けられるオリジナルセットとは異なり、最初から骨格の中に組み込まれていました。
両翼のエッジを立てる制作工程が済んだら、テクニックパーツで作られている骨組みをカバーで覆って、胴体やエンジン部分の組み立てに作業を集中していきます。
機体後方にある貨物エリアも、面白い組み方がてんこ盛りでした。コンパートメントの開閉できるドアや、ブロックで象徴的な矢印マークが表現されているボディがカッコいい造形です。元のセットでは矢印はプリントパーツでした。しかし今回は白い五角形のシールドタイルをベースとしてブロックから完璧な矢印を再現することに成功しています。これぞプロ!というデザイナーの難しい技を学ぶことができます。
大型エンジンの造形も非常に手が込んでいます。エンジンは左右の翼に1基ずつ、機体後方に2基の計4基を搭載しています。各エンジンはさまざまなシリンダーで構築されており、中央にある赤のクリアパーツが一際輝きを放っています。
もう褒めすぎなんですが、操縦席の作り込みも素晴らしいですね。4体のミニフィグ全員がコックピットへ搭乗することができますし、前の2席はコントロールパネルを操縦することが可能です。プリントタイルも宇宙船の造形を投影したレーダー画像が印刷されていて特別なこだわりを感じさせます。操縦室の後方には仮眠や調査を行う作業ルームがあります。仮眠ベッドは酸素ボンベを背負ったままで寝られる専用のものなので、わざわざボンベを着脱する手間が省けて非常に遊びやすいです。調査用の操作パネルもプリントタイルがたっぷり付いています。
完成しました。約1時間くらいで組み立てることができました。途中でなかなか難しい工程もあったので、対象年齢18歳以上には納得です。
操縦室の左右にある「LL928」の機体番号や、エンブレムとなっている「金の惑星のマーク」が懐かしさを感じさせる面白いセットでした。
同梱のミニフィグ紹介
赤と白の宇宙服を着たミニフィギュアとロボットが付いてきます。このロボットは、1987年の《6809 XT-5》で初登場しました。オリジナルのロボットのすべてのパーツは現在も全て生産されているので、完璧な再現ができています。
宇宙服を着たミニフィギュアについてですが、白のトルソーは2019年に発売されたレゴムービー2のセット《70841 ベニーズ・スペース・スクワッド》にも付いており比較的容易に入手可能なパーツです。一方、赤のトルソーは約10年前の小さなセットで登場したきりなので非常に珍しいパーツだと思います。レンチとトランシーバーが作業用道具として付いてくるのも嬉しいですね。ヘルメットの形は当時のオリジナルシリーズよりも顔が見やすいようにマイナーチェンジしてます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。《10497 宇宙探検隊》は過去の商品に再びスポットを当てつつ、デザインを1から再考した完成度の高いセットでした。
一般的に商品というのは消費トレンドが時代とともに変化し続けているので、再販したとしても売れないケースがほとんどです。しかし、このセットはあえて昔発売した商品の印象を残しています。それはこれが記念商品だからであり、もしこれが通常シリーズとして復活できるかというと別問題です。
ファンタジー感のあるこの宇宙船を見てもリアリティー重視の今の子供たちには刺さりにくいだろうといった意見も聞きました。どちらが正解というものはありませんが、その時代背景によって需要は変化するものです。
この商品は今の流行ではなく、“かつて子供だった大人”をターゲットに絞っています。
現にセットを開梱しているとき、僕はいつもより興奮しました。どの袋を見ても2000年代にライトグレーに取って代わられたミディアムグレーを除き、1979年に使用されていたクラシックカラーのみでブロックが構成されていたからです。と言っても、クラシックスペースシリーズが直撃世代ではないので、強い思い入れや馴染みは全然ありませんが、それでも次から次へと新色のレゴブロックが開発されている現在の商品群と比べると、レゴブロックの基本カラーには懐かしさを覚えました。
組みながら気になった点をもう一つ挙げるとすれば、レゴ社は誰でもインストを見れば簡単に組み立てができるようセットの内部には補色のレゴブロックを組み込むという考え方を理解できますし、初心者でも楽しめる工夫については高く評価していますが、このセットに限っては昔ながらのやり方を取り入れて欲しかったなというところです。しかし、それも込みで現代的なアップデートなのでしょう。
ともあれ時代の変化を楽しむことができた面白い商品でした。
時代は回ると言いますから、こういったファンタジックな造形が再びトレンドになる日がくるかもしれません。ただ、その時は自分自身のビルド思考もアップデートしておかないといけないなと感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回の記事もお楽しみに。それではまた!