こんにちはKeiです。あたらしいLEGO作品です。作ったものを見てもらうって毎回ドキドキしますね。笑
作品タイトルは『スキヤキ』です。
森山直太朗さんの名曲「スキヤキ」からインスピレーションを受けて制作しました。
ーーーー森山直太朗:スキヤキーーーー
一人はいつも寂しいものさ
イグアナと戯れても癒されはしない
占いのページ読み返しては
曖昧な明日に賭けてるんだ
(中略)
文明開化の折に 誰もが戸惑ったように
歴史は混乱の中で 新しい夜明けを待ってるんだ
もがき苦しんだ末に 何も残らなくとも
残らないってことは残るんだよな 辛うじて
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この作品をつくった経緯ですが、最近ぼくの周りで4人の若者が児童養護施設を退所しました。この仲良し4人組や施設退所者へ向けたメッセージ作品です。
何が起こるか誰にも読めない歴史の中で、大変なことがあっても一歩一歩、自分の喜びを見つけ、歩いていって欲しいと願いを込めました。
短い間でしたが共に過ごす中で、色々なことを教わりました。
中には今どこにいるか分からない子もいます。でも皆は頑張って生きているとぼくは信じています。
夜、再会した4人がすき焼き屋へ向かっているシーンです。
先行きがわからなくても、これからの新しい夜明けを4人いれば楽しく語り合ってくれるでしょう。この作品はそんな彼らの青春の一コマです。
そんなわけで明治時代の街並みを再現しつつ、主人公の4人は現代服のままになっています。所定の場所はありません。明治の日本を凝縮した幻想空間です。
構図は三代目歌川広重 作「東京名所京橋従煉化石之真図」を参考に、現存する全国の明治建築を複数組み合わせて制作しました。以前から浮世絵をレゴで作ってみたいなと構想はありましたが、ここで結びつきました。笑
ここから詳細解説をしていきます。
まずは石橋。熊本にある通潤橋をイメージしてしっかりと大きなアーチで組みました。オフ会に展示する予定なので目の肥えたレゴビルダーに馬鹿にされないよう(w)密度高めに複雑で耐久性ある組み方をしました。なかなか特徴的な橋になったかな?と思っています。綺麗な曲線造形を出しつつ強度を持たせるのは難しいですね。
石橋の上を走っているのは鉄道馬車です。レールもきちんとある客車を馬が引くという!とっても原始的だ!!笑
明治頃から日本橋や浅草を中心に日本各地で結構走っていたようです。それも都市部から順に電車や自動車に置き換わりはじめ、昭和頃にはすっかり淘汰されてしまうのですが。。日本において鉄道馬車は電車の元祖のようなものでしょうか?
(全然詳しくないのでこれ以上踏み込むのはトレイン勢に任せておきますw)
工夫したのは内装の広さと、外装の見た目を両立させたことです。側面ブロックを多用しており強度が貧弱だったので、扉付近でガッチリホールドさせる組み方です。完成までだいたい2日かかりました。
続いての大きな建物は高校です。
モデルは浦島屋(熊本県宇城市)や白雲館(滋賀県近江八幡市)など複数の建築を融合させました。白の美しい洋館に緑灰のパーツをアクセントに作りました。直線の中に曲線が映えるアール・デコ調の明治大正時代に流行った建築様式です。
LEGOでは内部が暗くなってしまうので2階部分を作るのはやめました。逆にこっちの方が天井高くなって気持ちいいかも。
シャンデリアも洋館らしさを表現するためにつけましたが、高校にはまずないでしょうね。。笑
グランドピアノはイタリアから輸入したものでしょうか。
ついでに鹿鳴館(ろくめいかん)の舞踏会を作りました。
芥川龍之介や三島由紀夫といった文豪作品や歴史の教科書に登場する瀟洒な鹿鳴館ですが、実際には1883年〜1887年の4年間しか会場として使われなかった事実に驚きです。
舞踏会のマナーなんてものは当時の日本人には全然分からず海外からは嘲笑されていたようですが、それよりさらに16年前には、ちょんまげを結う江戸時代だったことを考えると、世界に目を向けた当時の日本人の努力を誇りに思います。
いかがでしたでしょうか。新作は楽しんでいただけましたか。10月22日の梅小路レゴオフに新作として展示します。
明治の空気を肌で感じていただけるよう展示方法も工夫する予定です。どうぞお楽しみに!
巣立った若者たちへ
人はいずれ死ぬ。
明日、交通事故や天災に遭うかもしれないし、100歳まで生きるかもしれない。どんな人間も死を免れることはできない。だから、信念をもって生きることが大切だとぼくは考えます。
人を傷つけたり、反社会的なことをしないかぎり、それぞれの個性を生かし、やりたいことをなんらかの形でやって生きるのが良い人生だと思います。
いま、どの国でも多くの人が貧富の差で生きづらさを感じて苦しんでいます。そして人間はか弱い存在であり、それぞれが自分ではどうにもならない問題を抱えています。はたして人間は無力なのでしょうか? そうではありません。
人は不完全だからこそ、言葉を生み、互いを助け合ってきました。
互いを認め合うことで愛情が生まれ、幸せや喜びを見つけることができます。認め合う気持ちがなければ人と人は互いに凶器となり、争いに発展します。
人にはくるしい時「くるしい」、つらい時には「たすけて」と言える口があります。
不完全な自分を1人でなんとかしようとすると、いつか壊れてしまいます。
相談できる人がいないと、どんどん社会から孤立してしまいます。
出航した船はどこまでも海を渡ってはいけません。羽ばたいた鳥も永遠には飛べません。途中で補給や休息をする港や木の枝が必要です。自分が安心できる居場所や頼れる人を見つけてください。困った時はお互い様です。
時には裏切られて失望することがあるかもしれません。相手も不完全な人間です。ある程度は仕方ないな〜と、大目に見てあげてください。過度な期待はガッカリしますけど、それでも(結果はどうであれ)まずは信じることです。
先に自分から心をひらくことで、真剣に向き合ってくれる人がいるはずです。
待っていても自分の咲く場所はやってきません。自分から花を咲かせる場所を見つけにいく必要があります。
ぼくはみんなの素敵なところをたくさん見つけました。個性に自信を持ち、これから良いところをたくさん見つけ伸ばしてください。
もがき苦しんだ末に何も残らなくても、残らないってことは残るんです。
またいつか会える日を心待ちにしています。その時は飯でも行きましょう。
作品を見てくれたみなさんへ
これは施設出身の若者たちに向けた作品ですが、社会的養護についてまわりの大人たちに少しでも目を向けてほしいです。
「わたし社会福祉の業界の人間じゃないし」という人も多いでしょうが
まずは日本でもつらい思いをしている子がいることを心の片隅に置き、もし身近で我慢している子を見かけたら話を聞いてあげてください。コンビニに夜中たむろしている若者は、もしかして家に居場所がないのかもしれません。
ほとんどの場合で虐待や育児放棄、離婚による貧困など複雑に複合的につらいことが絡み合っています。
児童養護施設へのボランティアおすすめ団体「ブリッジフォースマイル」>>
偉そうなことを言ってしまってすみません。
大人が子供たちのためにできることは他にいくらでもあります。未来は変えられないけど、今を変える責任は大人たち全員にあります。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
それではまた。
Keibricks