小説「ハリー・ポッター」が今も多くの人に愛される理由

こんにちはKeibricksです。今日から9月ですね。

1日といえばハリーポッターがホグワーツ魔法学校へ入学、また新年度でホグワーツに行く日です。

本サイトでは普段LEGOを扱った記事を多く執筆していますが、せっかくの機会ですので Harry Potter が何故これほどまでに世界的にヒットしたか、多くの人々に愛され続けるこの本の魅力を少し書いてみようと思います。ネタバレが銜まれるため、承知の上で最後までご覧ください。

ハリー・ポッターの大きな魅力は、魔法を使いこなすことによるサクセスストーリーではありません。「世界は不公平なもの」であることを重視して書いている点だと思います。ハリーはゲームや漫画にありふれたパワーアップする王道主人公ではありません。(なんなら登場人物はみな主人公となれる魅力があります。映画ではロンやハーマイオニーすらハリーの支え役に留まっているけど…)

現代の社会で生きる我々はストレスに晒されながら生きています。幼い頃から情報の波に晒されて競い合い、自己実現を果たさなければならず、いじめや差別も無くなりません。しかし一方では物が溢れています。自分が大成功できる夢を持ちにくい社会です。我々は承認欲求を求めながら閉塞的でパッとしない日々を淡々と暮らしています。そんな世界で発売された本が『Harry Potter』でした。

物語の冒頭、主人公ハリーは極端に虐待されながら育ちますが、11歳になると自身がとんでもないスターであると知らされ、劇的な過去を知らされつつファンタジーの世界に踏み入れることを決意します。そして、諸悪の根源を打ち破り一躍ヒーローとなるのです。

これらを第一巻の導入として全部まとめて放り込むことで子供たちを本の中へ惹き込みました。「平凡な私にも急にスターになれる明日がある」と夢を持たせてくれたのです。そして、魔法学校という保守的な魅力、物語を支える絶妙な背景描写の数々、登場人物による生き生きとした会話中心の文体、推理小説の謎解き的展開といった複雑な要素を待ち合わせながら物語は紡がれていきます。そうして物語を読み進めるうちに、読者はハリー自身が特別な力を持った英雄ではないことを知ります。最終巻までなんら他の人と変わらない魔法界では平凡な人物でした。魔法の才能もずば抜けて大したことはありません。

それよりも両親に護られ、ダンブルドアやスネイプにも庇護され、ロンやハーマイオニー、ルーナといった友人たちに支えられ勇気や気力に変えていきます。ハリーは周りの人による愛が一番のパワーとなっていることを伝えてくれます。

ハリー・ポッターの世界では、人生の成功を味わうことなく死を迎える者たちが大勢います。魔法使いの中でも上手く魔法が扱えるものと下手な者、妬む者もいます。主人公ハリーでさえ終盤で死ぬために生かされてきたと知ることになるのです。

冒頭の小気味よい成功物語に心惹かれてハリポタの世界に飛び込んだ読者は、魔法界も現実世界同様に因縁や苦しみを抱えた世界だと認識させられます。

ハリポタはシェイクスピアやドストエフスキーの作品に似た人間喜劇であり、人間や物事の見方の多様性を描いています。そして「死」を基本トーンとしてシリーズは進み、不公平、不平等、苦難について考えさせれ、人生を見つめ直すきっかけを与えてくれるのが「ハリー・ポッター」という物語の魅力です。

『ハリー・ポッター』は、宗教観や政治的思想なども取り込むことで多くの人にとって読み応えのある小説となっています。これからも単なる娯楽作品を超えて、多くの人々に感動を与え、考えさせ、人生の一部となるような作品として決して色褪せることなく愛されていくでしょう。映画やLEGOをきっかけにハリーポッターを知った人も多いと思います。しかし、映画は断片的なため、それぞれのキャラクターについてはほとんど描かれていません。この機会に小説も読んでみることをお勧めします。一緒に小説『ハリー・ポッター』の世界をもっと楽しみましょう。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もお楽しみに。

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